さいたま市 06/23(火)
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    蒲生地区(越谷市)の住みやすさ・治安は?|静かさと利便性が共存する街の歴史・実態を解説

    東武スカイツリーライン・蒲生駅を中心に広がる蒲生地区は、越谷市の南部に位置する住宅エリアだ

    隣の新越谷・南越谷駅まで自転車で行ける距離にありながら、昔ながらの商店街と静かな住宅街が共存する。

    都内通勤圏で家賃は抑えめ——そんな「ちょうどいい」エリアの実態を、交通・買い物・子育て・歴史まで網羅して解説する。

    蒲生地区とは

    綾瀬川(SAITAMAZINE編集部にて撮影)

    蒲生地区は、越谷市の南部に広がる住宅エリアだ。

    南側には綾瀬川、東部には葛西用水路、中央を谷古田用水が流れる沖積平野に位置し、かつては水田や湿地が広がっていた土地だった。

    現在は宅地化が進み、ほぼ全域が住宅街になっている。南側の綾瀬川を渡ると草加市で、越谷市の中でも都市境界に近いエリアだ。

    行政上は越谷市13地区のひとつに数えられ、地区のまちづくりの目標は「緑豊かな 心ふれあう ふるさと蒲生」。コミュニティ推進協議会や自治会が活発に活動しており、地域のつながりが比較的強い。

    住所は郵便番号343-0838、蒲生一丁目〜四丁目を中心に、蒲生本町・蒲生東町・蒲生南町・蒲生愛宕町・蒲生西町・蒲生旭町・蒲生寿町・蒲生茜町・登戸町など複数の町丁で構成されている。1967年(昭和42年)の住居表示実施によって大字蒲生から分割されたため、町丁の数が多い。

    地名の由来

    「蒲生(がもう)」という地名の起源は、かつてこの地に茂っていた植物にある。綾瀬川沿いは湿地帯で、多年草の水草「蒲(がま)」の穂が一面に揺れていた。その光景から「蒲が生えている場所」→「がまう」→「がもう」へと転じたとされる。

    「加茂(かも)」とも呼ばれ、「カモ」は蒲の生える水辺を指す言葉でもある。宅地開発が進んだ今、湿地の面影はほぼない。だが、地名の中に水とともに生きてきた土地の記憶がある。

    地域の歴史

    旧日光街道(SAITAMAZINE編集部にて撮影)

    蒲生地区の歴史は、旧日光街道を抜きにして語れない。江戸時代、日光街道(日光道中)の東側沿いには四か村用水が流れ、街道沿いに名主が居を構えていた。

    村を統治した名主は2人——「西のお大尽」と呼ばれた中村家と、「東のお大尽」と呼ばれた大熊家だ

    大熊家は「おおごうや(大紺屋)」という屋号で染物屋を営み財をなしたとされ、戦前には村長も務めている。

    明治22年(1889)、町村制の施行により蒲生村・登戸村・瓦曽根村の3村が合併し「蒲生村」が成立した。

    明治32年(1899)に東武伊勢崎線が開通し、蒲生駅が開業。昭和29年(1954)には越ヶ谷町ほか2町8村と合併して越谷町(後の越谷市)となり、昭和42年(1967)の住居表示実施で現在の町丁が成立した。

    交通アクセス

    蒲生駅西口(SAITAMAZINE編集部にて撮影)

    蒲生駅で使える路線は、東武スカイツリーライン(東武伊勢崎線)の1路線のみ。ただし「1路線しかない」という印象は、実際に住んでみると和らぐことが多い。

    理由は、隣の新越谷駅・南越谷駅まで自転車で行ける距離にあるからだ。

    新越谷駅(東武)と南越谷駅(JR武蔵野線)は乗り換え可能な駅で、武蔵野線を使えばさいたま市方面や千葉方面にも動きやすい。実質2路線が使えるエリアと考えるとアクセスの見え方が変わる。

    東武スカイツリーラインの蒲生駅には各駅停車のみ停車するが、草加駅(急行停車)まで3駅。

    草加で乗り換えれば北千住まで約20分でアクセスできる

    東京メトロ日比谷線への直通運転もあり、銀座・築地市場・六本木一丁目など都心の主要地点に乗り換えなしで行けるのは、見逃されがちな強みだ。

    上り電車の運行間隔は平均約5.3分と本数が確保されており、遅延発生率も低い。混雑率は小菅〜北千住間で104%(定員乗車状態)と、普通列車のみの割には落ち着いている。

    都内主要駅へのアクセス時間

    目的地所要時間備考
    北千住約17分各停
    上野約33分各停
    銀座約35分日比谷線直通・乗り換えなし
    秋葉原約40分
    新宿・渋谷約60分武蔵野線経由

    蒲生地区の街の雰囲気——東口と西口

    蒲生商店街入口(SAITAMAZINE編集部にて撮影)

    蒲生駅を降りると、東口と西口で街の顔が大きく異なる。どちらに住むかによって、日々の体感は変わる。

    東口——商店街と飲食の街

    東口に出ると、すぐ目の前に東武ストア蒲生店がある。深夜25時まで営業しているので、仕事の帰りが遅くなっても食材や日用品を買って帰れる。

    少し歩くと、昔ながらの蒲生商店街が続く。

    チェーン店ではなく、地域に根ざした個人商店——肉屋、魚屋、八百屋が現役で営業している。旧日光街道までの通り沿いには街灯が設置されており、夜でも道が極端に暗くなることはない。

    ホワイト餃子 越谷店やぎょうざの満洲など人気の飲食店も点在し、帰り道に一杯という選択肢も普通にある。

    蒲生商店街を歩く|昭和の面影と、変わりゆく越谷の今

    西口——静かな住宅街

    西口はガラッと雰囲気が変わる。駅前には大きな商業施設はなく、国道4号沿いを少し歩けばすぐ住宅街に切り替わる。

    落ち着いた環境で暮らしたい人には、西口側の方が向いている。

    食料品はヤオコー越谷蒲生店が徒歩圏内にあるので、日常の買い物には困らない。近年は商業施設の入った賃貸マンションも完成し、以前より利便性が高まった。ファミリー層や年配層が中心の、穏やかなエリアだ。

    買い物・生活利便性

    住民アンケートでは、「コンビニの数が多い」「深夜まで営業するスーパーがある」が街の印象として上位に挙がっている。実際、駅周辺の生活インフラは充実しており、日々の買い物でストレスを感じる場面は少ない。

    主なスーパー・商業施設

    施設名場所・距離特記事項
    東武ストア 蒲生店東口直結深夜25時まで営業
    ヤオコー 越谷蒲生店西口エリア食料品が充実
    イオン 南越谷店約800m(自転車約5分)食品売場7時〜22時
    スーパーベルクス 南越谷店約900m10時〜21時(日曜9時〜)
    カスミ フードスクエア アルコ越谷店約2.2km時間帯・価格帯が異なり使い分けやすい

    医療・行政サービス

    駅周辺には内科・整形外科・歯科など各科のクリニックが複数立地している。越谷市の出張所が徒歩圏内にあるため、転入・転出などの市の手続きも行きやすい。城北信用金庫蒲生支店のほか、各コンビニのATMも使える。

    子育て・教育環境

    愛隣幼稚園(SAITAMAZINE編集部にて撮影)

    越谷市は乳幼児医療費が18歳の年度末まで自己負担なし、所得制限なし。この手厚い支援は市内全域に適用されるため、蒲生地区に住む家族も等しく使える。

    保育・幼稚園

    蒲生地区内には蒲生保育所・蒲生第三保育所が立地し、愛隣幼稚園(学校法人大熊学園)も地区内にある。

    愛隣幼稚園の運営母体・大熊学園は、江戸時代に蒲生村の名主を務めた大熊家の家系が設立した学校法人だ。旧名主の家系が現代の教育機関として地域に根ざし続けているという、この街の歴史的な連続性を感じさせる存在でもある。

    越谷市全体では公立保育所17か所、私立保育所20か所。待機児童数は3人(市データ)と比較的少ない。

    小中学校・学区

    小学校は越谷市立蒲生小学校・蒲生第二小学校が主な学区校で、住所の丁目・番地によって異なる。中学校は越谷市立武蔵野中学校が主要学区となる。住宅街に学校が溶け込んでおり、通学路の長さが過度にならない距離感がある。

    公園・自然スポット

    谷古田河畔緑道の案内図(SAITAMAZINE編集部にて撮影)

    かつて湿地帯だった蒲生エリアには、宅地化後も用水路沿いの緑道や公園が点在している。街の中に、ちょうどいい余白がある

    蒲生公園

    蒲生駅から商店街を北東に抜けた先にある公園(越谷市蒲生東町15)。ブランコ・鉄棒・砂場・滑り台・スプリング遊具が揃い、夏季はじゃぶじゃぶ池が稼働する。

    水深が浅く、小さな子どもも安心して水遊びができる。トイレ・おむつ替えスペース・水道が完備されており、小さい子を連れて出かけやすい公園だ。

    谷古田河畔緑道

    谷古田用水沿いに整備された全長3.8kmの親水緑道。

    西方一丁目の取水口から蒲生愛宕町の古綾瀬川落し口まで連続して歩ける。ウォーキングやジョギングをする地元住民が多く、季節ごとに変わる水辺の景色が楽しめる。

    南越谷第一公園(隣接エリア)

    南越谷駅と蒲生駅の中間に位置する公園。

    木製の複合遊具・ブランコ・滑り台に加え、走り回れる広さの芝生エリアがある。近隣の幼稚園の散歩コースになっており、地元の人と自然につながりやすい公園だ。

    歴史スポット・神社仏閣

    清蔵院(SAITAMAZINE編集部にて撮影)

    旧日光街道が通る蒲生地区には、江戸時代から続く神社・寺院が今も残っている。地元の人が普通に使っている道の脇に、数百年の時間が静かに存在している。

    菅原天神社(蒲生本町)

    越谷市蒲生本町13-18に鎮座する、旧蒲生村東組の鎮守。菅原道真を祀る神社で、かつては190坪の境内を誇り、構堀に囲まれた格式ある社だった。毎年1月15日には天神祭が行われ、地域住民が集まる。境内に蒲生本町自治会館も設けられており、神社と地域の暮らしが今もつながっている。

    清蔵院(せいぞういん)

    越谷市蒲生本町13-41に位置する寺院。立派な冠木門(かぶきもん)が通りから目を引く。旧日光街道沿いに建ち、江戸時代の蒲生村の空気が残るスポットのひとつ。

    久伊豆神社(くいずじんじゃ)

    蒲生一丁目1-7に所在し、周辺にも同名の神社が複数点在する。埼玉の農村地帯に多く見られる久伊豆信仰の一社で、地域の産土神として現在も祀られている。旧村社格を持つ蒲生久伊豆神社(蒲生一丁目1-10付近)と、境内の小祠がそれぞれ現存する。

    治安

    越谷市の治安について調べると、「埼玉県内で犯罪認知件数が2番目に多い市」という数字が出てくる(埼玉県警・令和5年データ)。この数字だけを見ると身構えるが、中身を見ると話が変わる。

    越谷市で起きる犯罪の約8割は「自転車盗難」だ。凶悪犯罪や対人犯罪が多い街ではなく、「駐輪時に鍵をしっかりかける必要がある街」という理解が正確だ。

    蒲生エリアの実態

    東口は商店街があり、旧日光街道沿いの通りには街灯が整備されている。人通りがある分、夜の体感治安は比較的良好だ。

    西口は東口と比べると店舗数が少なく、夜間に暗くなる通りもある。住む場所を選ぶときは、帰り道の明るさを事前に歩いて確認しておくといい。

    近年、取り締まりの強化により不法駐輪は大幅に減少した。長年住む人からは「以前より街が落ち着いた」という声が多い。

    家賃相場

    蒲生駅周辺(徒歩10分以内)の家賃平均は7.61万円。

    間取り相場
    1K7.39万円
    1DK9.55万円
    1LDK10.18万円
    2LDK12.57万円

    隣の新越谷駅(6.91万円)と比べると若干高いが、蒲生エリアは実質的に武蔵野線も使えるロケーションとして考えると割安感がある。東武スカイツリーラインと武蔵野線の2路線が使えるエリアとしては、コストパフォーマンスが高い部類に入る。

    蒲生地区に向いている人

    住民アンケートでは、「近場でなんでも済ませたい人(15%)」「静かに暮らしたい人(14.7%)」「電車の利便性を重視する人(13.7%)」が上位に並ぶ。

    蒲生地区が向いているのは、次のような人だ。

    • 都内通勤は必要だが、帰宅後は静かな環境で過ごしたい
    • 家賃を抑えながら、スーパーや病院が近い生活環境を求めている
    • 子どもが生まれた、またはこれから家族を増やすことを考えている
    • 商店街や地域のつながりに安心感を覚える
    • 越谷レイクタウンへの自転車アクセスや、自然の多い環境を楽しみたい

    一方で、夜の賑わいや駅直結の大型商業施設を求める人には、隣の新越谷・南越谷エリアの方が合いやすい。蒲生はあくまで「静かに暮らすことを選んだ人」の街だ。

    蒲生地区の全町名

    蒲生地区は複数の町丁で構成されている。それぞれの町に異なる歴史・施設・景観があり、同じ「蒲生」でも住む場所によって街の表情が変わる。各エリアの詳細は個別記事で解説している。

    蒲生一丁目がもういちょうめ〒343-0838蒲生エリア北西部。中央に谷古田用水が流れ、旧村社格の蒲生久伊豆神社が所在する。光明院・地蔵院・稲荷神社など複数の社寺が現存する歴史的な層の厚いエリア。
    蒲生二丁目がもうにちょうめ〒343-0838一丁目の南東に位置する静かな住宅街。蒲生二丁目自治会館が拠点施設。かつてあったふれあい公園は廃止・宅地化されており、街の変化の痕跡が残る。
    蒲生三丁目がもうさんちょうめ〒343-08384丁目の中で施設が最も多いエリア。愛隣幼稚園(旧名主・大熊家の家系が設立した学校法人運営)、城北信用金庫蒲生支店、越谷蒲生三郵便局、蒲生第三保育所が立地する。蒲生三丁目第二ふれあい公園もある。
    蒲生四丁目がもうよんちょうめ〒343-0838蒲生エリア南東端部。葛西用水路と綾瀬川に囲まれた水辺に近い立地。越谷市出羽堀ポンプ場・出羽堀樋門ゲートという治水インフラが現役で稼働している。
    大字蒲生おおあざがもう〒343-0838蒲生西町の南部に残る住居表示未実施地区。昭和42年の住居表示実施後も地番体系が保たれており、旧村の地割りの名残を感じられる越谷市内では数少ないエリア。
    蒲生本町がもうほんちょう〒343-0837旧日光街道沿いに位置する歴史的エリア。菅原天神社(天神祭・自治会館併設)と清蔵院(冠木門が目印)が現存。旧蒲生村東組の中心地で「東のお大尽」大熊家の居住域に近い。
    蒲生東町がもうひがしちょう〒343-0841蒲生駅の北東500mに位置する住宅エリア。蒲生公園(東町15番地)があり、夏季のじゃぶじゃぶ池は子育て世帯に人気。東部を葛西用水が流れる
    蒲生南町がもうみなみちょう〒343-0842蒲生エリアの南部に位置する住宅地。綾瀬川に近く、かつての湿地帯の低地形が残る。谷古田用水の流れが近い静かな居住エリア。
    蒲生愛宕町がもうあたごちょう〒343-0834逆三角形の地形が特徴的なエリア。南で綾瀬川を挟んで草加市と接する越谷市の最南部。谷古田河畔緑道(全長3.8km)の南端・古綾瀬川落し口がこの地区にある。
    蒲生西町がもうにしまち〒343-0843蒲生駅西口エリア(一丁目・二丁目)。旧名主「西のお大尽」中村家の居住域に近い。南部に大字蒲生が一部残存。久伊豆神社が近隣に所在し、静かなファミリー向け住宅街が広がる。
    蒲生寿町がもうことぶきちょう〒343-0836蒲生駅東口に位置する地区の顔ともいえるエリア。蒲生交流館(旧蒲生村役場跡・大正11年移転)、東武ストア蒲生店(深夜25時まで営業)、旧日光街道が集積する。
    蒲生旭町がもうあさひちょう〒343-0844「旭」の名を持つ住宅エリア。越谷市立児童館ヒマワリ(蒲生旭町11-35)が立地し、授乳室・おむつ替えスペースを備えた子育て世帯向けの市立施設として機能している。
    蒲生茜町がもうあかねちょう〒343-0845昭和55年(1980年)に成立した蒲生地区で最も新しい町名。整然と開発された住宅街。川口信用金庫蒲生西口支店(蒲生茜町16-22)が立地。蒲生駅西口から徒歩3分圏内。
    登戸町のぼりとちょう〒343-0846蒲生地区の行政・文化の中心地。蒲生地区センター・公民館「パコム」(登戸町33-16)が所在し、地区全体のコミュニティハブとして機能している。旧登戸村に由来する地名。

    まとめ

    蒲生地区は、派手さがない。それがこの街の正直なところだ。

    でも、だからこそ——ここには「普通に暮らせる」という確かさがある。商店街の肉屋に顔を覚えてもらって、谷古田用水沿いを散歩して、深夜でも東武ストアで牛乳が買える。そういう、当たり前の積み重ねが、この街にはある。

    越谷市の中でも目立たないエリアかもしれない。でも、何か新しいことを始めようとしている人、家族を持ちはじめた人、静かに根を張ろうとしている人に、この街は案外やさしい。

    「安心して挑戦できる」——それは大きな夢の話だけじゃない。

    毎日の暮らしが整っていることで、人ははじめて次のことを考えられる。蒲生地区は、そういう街だと思う。

    ライター
    たけと

    兵庫県神戸市出身。都会の喧騒を離れ、たどり着いた新天地・蒲生(越谷市)で第二の人生を謳歌する元商社マン。 長野出身の妻、そして年子(0歳・1歳)の育児に奮闘しながら、越谷の心地よさを日々実感しています。満洲の餃子をこよなく愛する、自称・越谷の関西代表。

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